致命傷にもなりかねない!異物の混入を防ぎ「お客様」と「食品」の安全を守ろう

お客様からの苦情で最も多いのは、異物混入です。異物が混入してしまうと、せっかく作った大切な食品は廃棄しなければいけなくなってしまいます。
また、食品に余計なものが入ってしまうと、お客様に肉体的にも精神的にもダメージを与えることにつながります。

今回は異物混入の怖さ・薬品の混入防止・寄生虫の混入防止・アレルゲンの混入防止・自然毒の混入防止について紹介します。お客様の安全と食品の安全を守るためにしっかり確認していきましょう。

異異物混入とお客様の安全

食品への異物混入とは、 ラベルに表示されていない物が含まれている状態を指します。
異物混入が起こることで、食中毒を引き起こし怪我や病気につながってしまったり、嫌な気分にさせ精神的なショックを与えたりと、お客様にさまざまな悪影響を与えてしまいます。

特に大きいのが精神的なショックです。
例えば、楽しみしていた旅行で一番最初に食べた食事に異物が混入されていたら、一瞬にして旅行全体が台無しになってしまいます。
食品への異物混入はお客様の食事の楽しみを奪ってしまいかねないので、「ちょっとした異物が入ったくらい」と軽く考えず、責任をもって安全な食品の提供に努めましょう。

異物混入と対応策

大切なお客様を傷つけてしまうことがないように、対応策をしっかり学んでいきましょう。異物混入は異物の種類と異物の混入源を知ったうえで、ルールを守って対策していくことが大切です。

異物混入の種類

まずは、異物混入の種類について見ていきましょう。異物混入の種類は次のように、非常にたくさんあります。

・ネズミや鳥類のフン ・ハエ・昆虫 ・人や動物の毛髪 ・木片・塗膜片・紙片・合成樹脂・糸くず・輪ゴム・傷テープ ・潤滑油・グリース ・ガラス片・石・砂・金属片・金属サビ ・針金・針・機械部品 ・その他

種類が多くてびっくりされた方もいるかもしれませんが、ヒヤリハットを確認していくと入ってくる異物はかなり絞ることができるので安心してください。
ヒヤリハットを基に混入する可能性のある異物を一つづつ丁寧に拾っていき、異物混入を招かないように対応していきましょう。

異物の混入源

続いて異物の混入源を見ていきましょう。異物の混入源は原則として作業場にあるものに限られ、次のようなものから異物混入を招く恐れがあります。

・原材料 ・工場内の器具備品 ・工場内設備 ・従業員(更衣室) ・中間倉庫 ・流通倉庫 ・消費者

意外と見落としがちですが、異物の混入は食品の作り手側だけでなく消費者が原因となって引き起こされることもあります。
ただし、多くの場合消費者は自分が異物混入の原因であることを認識できていません。

例えば、お母さんが晩御飯に冷奴をだそうと思い、豆腐を盛りつけようとしたタイミングで子供から話しかけられたとします。そして、子供に気を取られ豆腐から目を離している間にいつの間にか自分の髪の毛が入り込んでしまったとしても、異物は元々混入されていたものだと勘違いしてしまうことがあります。

このように消費者が原因となっているケースもあるので、いくら工場での作業に気をつけていても一定のクレームは発生してしまうのです。
お客様が原因を作っていたとしても、食品提供者は自社の管理体制を説明し謝罪して対応していくことしできません。そのため、異物の混入源はしっかりと把握しておく必要があります。

異物混入とルール

異物混入の種類と混入源が分かったら、しっかりとルールを守り異物の混入を防ぎましょう。ルールの一例としては、次のようなものが挙げれられます。 ・私物(タバコ等)を持ち込まない ・髪の毛対策 ・ドリルの切り屑対策 ・ボルト・ナット等の紛失を明確にしておく ・ダンボール ・ガムテープで補修しない ・塗料片・器具片 ・掃除用具を置かない ・直置きをしない

薬品(化学物質)の混入防止

薬品(化学物質)では、主に洗剤・殺菌剤が重要なポイントになります。洗剤や殺菌剤を取り扱うみなさんは適切な訓練を受け、食品への危険性についてしっかり勉強していく必要があります。洗剤・殺菌剤を取り扱ううえで大事なポイントを紹介するので、しっかり覚えておいてください。

洗浄剤や殺菌剤の在庫管理を徹底

一つ目のポイントは、洗浄剤や殺菌剤はすべて在庫管理し、記録しなければならないということです。
過去にはスタッフによって餃子に農薬が入れられたという事件も発生しており、管理が甘いとこのようなスタッフによるいたずらが発生してしまう可能性もあります。
内部からの異物混入の危険を抑制するためにも、管理体制を整えていることを周知しておく必要があります。

洗浄剤や殺菌剤は食品と隔離して保存

二つ目のポイントは、洗浄剤や殺菌剤は食品とは隔離し、決められた施錠できる場所に保管しな ければならないということです。

洗浄剤や殺菌剤は必ずラベルの確認を行う

三つ目のポイントは、洗浄剤や殺菌剤には、すべてラベルが付いていることを確認しなければならない(小分けをした容器も含む)ということです。

洗浄剤を食材の容器に移し替えて、誤使用してしまう事故がたくさん発生しています。
移し替えた人はわかっていたとしても、他の人は洗浄剤が入っていることがわからないケースもあります。誤使用を防ぐために、しっかりとラベルを確認していく必要があります。

寄生虫の食中毒防止

食中毒を招く原因は様々ありますが、実は最も多いのが寄生虫による食中毒で、ほとんどがアニサキス食中毒となっています。防げない事故ではないので、しっかり予防を行っていきましょう。

予防対策

寄生虫による食中毒を防ぐ予防対策としては、次の3つの方法があります。
・目で見て十分に確認し除去
・冷凍(-20°以下、24時間以上)
・60°以上で1分、70°で瞬時に死滅

冷凍もしくは加熱をしっかり行っておけば、アニサキスは除去することが可能です。逆に言うと、鮮魚を加熱せずに提供する場合は注意が必要です。アニサキスは鮮魚の内臓部分に潜んでいますが、鮮度が落ちると内臓から筋肉部分に移動するので内臓は速やかに除去するようにしましょう。また、アニサキスはわさびや塩漬け、醤油や酢〆では死にません。基本的には鮮度の良い魚を使うことが、最適な対策となります。

他の寄生虫の事故例

アニサキス以外にも寄生虫による事故は発生しており、例えば次のようなものが挙げられます。

・野菜類(回中) ・ヒラメ(クドア) ・馬肉(サルコシスティス・フェアリー)

ヒスタミン食中毒

ヒスタミンという化学物質が原因となって起こる食中毒もあります。

ヒスタミン食中毒は鮮度の低下したマグロ・カツオ・サバ(主に赤身魚やその加工品)で起きています。
一般的にアレルギーに似た症状を起こしますが、呼吸困難や意識不明などの重症例も見られるのでしっかり対策していくことが大切です。

ヒスタミン食中毒は、ヒスタミン産生菌がタンパク質を分解して作ることにより発生します。
ヒスタミンは一度作られると加熱しても壊れないので、注意が必要です。

鮮度の良い鮮魚を使用して、ヒスタミンが作られないようにしましょう。

アレルギー食中毒防止

アレルギー食中毒とは、摂取した食物が原因となり免疫学的機序(体を守る働きを免疫と言います)を介して、じん麻疹・湿疹・下痢・咳・ゼーゼーなどの症状が起こることを言います。

食物アレルギーは1才未満の乳児で最も多く発症しますが、厚生労働省の調査によると小児から成人まで幅広く認められています。

場合によっては死に至ることもある、アナフィラキシー反応を引き起こすこともあるので注意が必要です。

「多くの人にとっては「美味しい食べ物」でも、一定の人にとっては死につながる危険な食物である」という認識をしっかり持っておくことが大切です。
特に次の死亡例や患者数が多いアレルギー食物については、メニューや口頭でお客様にしっかり伝えておく必要があります。

・小麦 ・乳 ・卵 ・そば ・落花生 ・えび ・かに

まとめ

安全な食品をつくるには、異物・薬品・毒といった余計なものの混入を防がなければいけません。異物の多くは目に見えますが、化学物質や毒は目に見えないうえに死を招いてしまう可能性もあるので特に注意が必要です。

また、一見何の害もないように思われる食品であっても、食物アレルギーを持っている方にとっては毒になりかねないということもしっかり認識しておく必要があります。

食中毒はしっかり対策をしていれば防ぐことができるので、紹介したポイントも参考にしながら安全な食品の提供に努めてください。