【HACCP義務化教育】のコラム中で学んだことをまとめました。改めて確認しましょう。知識が身についているか確認するためのテストが中心になります。

要点を確認し学んだことを生かして、自信をもって HACCP を実施していきましょう。 

全7回の「総まとめ」 HACCPの知識に自信がある人は、このコラムだけ見ても良いと思います!

HACCPのまとめ1:重要な食中毒原因とそれを管理する作業

「重要な食中毒原因を理解」(HA)し、「特に注意して管理する作業をしっかり管理」(CCP)できていれば、HACCPを守れているということになります。

 この2つがHACCPに取り組むうえで重要な項目になるので、しっかり確認していきましょう。

HACCPでやることのまとめ

1.  重要な食中毒原因を前もって調べる
手引に記載されている内容(過去の事故事例)、検査や文献を活用して自分が作っている食品の原材料に、どのような食中毒原因があるのかを調べましょう。

2. どのように管理するかを決める
食中毒予防3原則・衛生管理計画・手引きに従って、管理方法を決めていきましょう。

やることは、言葉にすると以外とシンプルですね。「手引」を上手く活用すれば、必要な情報を集める事ができます。「目的」も確認しましょう!

 改めてHACCPの目的を確認しておくと、HACCPは問題のある食品の出荷を未然に防ぐ仕組み、つまり食中毒の予防です。食中毒の「予防」に重点が置かれるので、出来上がった「製品」の検査結果ではなく、作る前の食中毒原因の調査と作る際の作業の管理に重点が置かれるのです。

HACCPを実施する目的

(HACCPの目的)食中毒の予防作ってから検査などをして、安全性を確認するのではなく、①事前の食中毒原因の調査と②その管理方法の徹底で、「危ない食品」がそもそも出荷されないようにする。

ただし、これはまだ理論の段階にすぎません。

これから新商品の開発やメニュー変更を行うときにしっかりと対応できるように、実際に重要な食中毒原因を予想して管理方法を確認するトレーニング(小テスト)を行ってみましょう。

HACCPトレーニング(小テスト)

第1問:居酒屋の「日替わりメニュー」の①危害要因分析(HA)と②管理手段の決定(CCP)

あなたは今日のキッチン担当です。
厨房に入ると魚が氷の入った発泡スチロールに置かれていて、「刺身(薄造り)と煮物で出して下さい」とオーナーからのメモがありました。見た目では「アラ科」の魚に見えます。
調理するにあたって1.重要な食中毒原因、2.管理(調理)方法、3.確認すべきこと、4.確認する方法を答えてください。

注意点:メニューは2つ(刺身と煮物)があるのでそれぞれのメニューごとに考える必要があります。
食中毒原因については、ダウンロードできる資料を参考にしてください。

第1問めは、居酒屋の「日替わりメニュー」。HACCPで考えてみましょう。写真のリンクから、食材別の食中毒原因と管理方法を確認して、それぞれ考えてみてください。下のボックスに答えがあります。

第1問の答え


第2問めはカフェの「マンゴーパフェ」。これもHACCPで考えてみましょう。レシピを確認して、それぞれの食材の食中毒原因と管理方法を考える必要があります。

第2問: カフェの「マンゴーパフェ」の①危害要因分析(HA)と②管理手段の決定 (CCP)

あなたは、今日のデザート担当です。
担当するのはパフェやアイスの盛り付けと生フルーツ(マンゴー、カットパイン)のトッピングです。フルーツの下処理もやるように指示されています。マンゴーパフェのオーダーが入りました。
調理するにあたって1.重要な食中毒原因、2.管理(調理)方法、3.確認すべきこと、4.確認する方法を答えてください。

【マンゴーパフェのレシピ】 生クリーム、生マンゴー、生パイン、乾燥シリアル、生ミント葉

第2問の答え

第3問:レストランの「テイクアウト」 の①危害要因分析(HA)と②管理手段の決定(CCP)

あなたは、今日のランチ担当シェフです。担当するのは日替わり定食(あぐーステーキ)です。店内飲食はホール担当、テイクアウトはあなたがお客様対応します。あぐーステーキのテイクアウトのオーダーが入りました。調理するにあたって1.重要な食中毒原因、2.管理(調理)方法、3.確認すべきこと、4.確認する方法を答えてください。

 【あぐーステーキ(テイクアウト)】 豚肉ステーキ、付け合せ野菜(じゃがいも、人参など)、ライス

第3問。小テストはこれで終わりです。最後はレストランの「テイクアウト」。これもHACCPで考えてみましょう。いままでの知識があれば、分析できるはずです。知識に不安のある方は、ステップ1に戻って、不安なところを確認してみてください。

第3問の答え

以上で、まとめ1の小テストは終了です。

いかがでしたでしょうか。

テストで行ったように限定的な状況であったとしても、「このメニューにはこの食中毒の原因がある」ということを調べ・確認する習慣を普段からしっかり身に付けておいてください。

最初は戸惑うかもしれませんが、経験を積むことでどんどん理解を深めていくことができます。

自分の作っている食品の「重要な食中毒原因」と「その管理方法」を理解し、食中毒の発生をしっかり予防できるようにしましょう。

HACCPのまとめ2:きれいな花と折れない心

最後の質問1

突然ですが質問です。5秒間で、きれいな花を思い浮かべてみてください。

最後の質問1の答え

最後の質問2

それでは次の質問です。5秒間で、安全な食品を思い浮かべてみてください。 思い浮かべられたでしょうか。

最後の質問2の答え

私たちがHACCPを実施する目的は、食中毒を「予防」することでした。

そのため、「きれいな職場」や「きれいな食品」を作るということはあくまで手段であって、 HACCPの目的ではありません。
「きれいな職場」や「きれいな食品」というのは人によってそれぞれ感じ方が違いますが、「安全な食品」というのは上記のようにしっかりとルールが決められており、全員が一つの同じ方向を向いて取り組んでいくことができます。

「きれいな花」と言われてそれぞれ別の花を思い浮かべるようにスタッフの価値観が異なっていても、「安全な食品」をつくるための3つのルールがしっかり守れていれば、HACCPを実施していると言えます。

 また、働いている人の気持ちがバラバラになることなく、「いつ」「どのように」「問題があったときはどうするか」をしっかりと決めて食品の提供に努めていくことが大切です。

折れない心の大事さ

新しいことを始めると、どうしても周りから反発が起こる事があります。お店でHACCPの導入がうまく出来ていないのであれば、次のような悪循環に入っている可能性が高いです。

<HACCP導入がうまく行かないお店の悪循環>

1. なるべく波風は立てたくない
2. 問題を先送りする、気づかないふりをする
3. 信頼し合わない、お互いに隠しあう
4. 陰で非難しあう、表だっては何も言わない
5. 結果として牽制と足の引っ張り合い 

 悪循環を断ち切るにはヒヤリハットを共有して不具合を摘出し続けていく必要がありますが、多くの場合は反発が生まれます。
 反発と批判を受けるので心が折れそうになることがあると思います。しかし、安全な食品を作るために同じ方向を向いていくには、HACCPの記録をつけ続けて、ヒヤリハットを共有し続けるしか道はありません。

 ですので、このブログを読んでくださったあなたが先頭に立って、ヒヤリハットを記入することから始めてみてください。「まず、自分から始める」ということが、最も遠回りに見えて、職場改善そして食中毒予防の一番の近道になります。

HACCPやりたくないチームがいる場合の対処方法を紹介している動画もあります。是非、参考にしてみてください。

まとめ

HACCPを実践していくには、ヒヤリハットをしっかり探して毎日記録・共有することが大切です。

「習慣化」というのは、「やりきる力」のことです。

 仕事終わりには今日はヒヤリハットはなかったのか衛生管理計画を確認して、記録をつける。
 特記事項をできるだけ一つずつ毎日書いていけば、HACCP は成功するでしょう。

 記録を習慣化する目安としては、実施記録の記入率は最低でも75%以上を維持し続けましょう。

 75%というのは法律で定められているわけではありませんが、 HACCPに成功しているお店の多くは75%以上を維持できています。

 今まで学んできたことをきちんと実践できたという証拠が「記録率75%以上」を維持できているということになります。しっかり実践して、安全な食品の提供に努めましょう。